Apple Vision Proは高性能ではあるものの、日本では約60万円からという価格に見合った用途が提案できていない、と指摘されています。Apple社内では、製品の軌道修正の案がいくつか議論されているものの、決定に至っていません。案としては、iPhoneの処理性能を活用する方法や、AirPods Proの強化版のような方法も検討されているようです。
Appleも理解しているApple Vision Proの軌道修正の必要性
Apple Vision Proは高度なカメラや美しいデザインを持ち、映画鑑賞や、Appleが提供する没入型コンテンツを楽しむには最高だが、サードパーティーからコンテンツ提供がなく、Metaなどの競合製品と比べても機能と価格のバランスが一般のユーザー向けの製品となっていない、とBloombergのマーク・ガーマン記者はニュースレターPower Onで指摘しています。
iPhoneやApple Watchが大ヒットを記録するまでに、製品特徴の微修正が必要だったのに対し、Apple Vision Proは大胆な軌道修正が必要になりそうです。
Appleもこの問題を認識しており、現在、Apple社内でいくつかの方策が検討されているものの、社内で合意に達することができていないと聞いている、とガーマン氏は伝えています。
Apple社内で検討されているVision Pro改革案
ガーマン氏によると、Apple社内で検討されている選択肢は、以下のようなものです。
現状維持路線
- 現在のApple Vision Proを基本的に維持しながら、より低価格のモデルに注力。
- 製品の素材、搭載技術の絞り込み、ディスプレイ品質の引き下げでコストを軽減。
- 新しいチップとApple Intelligenceを搭載したハイエンドの第2世代を発売。
スマートディスプレイ路線
- Apple Vision Proの機能の多くをiPhoneに依存させ、Vision Proから演算能力とバッテリーを取り除く。
- これによってiPhoneの価値が高まり、重量と発熱を軽減し、大幅な価格引き下げが可能。
スマートグラス路線
- MetaがRay-Banとのコラボで発売した、拡張現実(AR)機能のないスマートグラスに近い製品を開発。
- Appleが持つチップ技術やオーディオの技術と人工知能(AI)技術を活用し、魅力的製品を作れる可能性がある。
- 他社製品の後追いとなるが、AirPodsの強化版と言えるため、Appleファンには歓迎される可能性がある。
AIとAirPods路線
- Appleは、外部カメラとAIを活用してユーザーの周囲の状況を理解し、ユーザーに情報を提供する新バージョンのAirPods Proを開発中。
- メガネを使わないスマートグラスと言える。
ティム・クックCEOの夢路線
- ティム・クック最高経営責任者(CEO)が長年の夢として抱く製品の実現を目指す。
- 高性能レンズ、カメラ、アイトラッキングシステム、バッテリーシステム、オンボードコンピュータなどを搭載した高性能のスタンドアローン型のARメガネ型デバイス。
- ただし、このような製品は開発が一時中断されていた。
Source: Power On/Bloomberg
Photo: Apple